イギリス入国のすったもんだ

今回のパリ行きの本来の目的は、イギリスのビザを更新することでした。

正確に言うと、わたしは「Entry Clearance」なるものの学生ビザに相当する資格で
滞在していたのだが、その期限が6月末までで、わたしの希望帰国予定が
それより10日ほどあとなので、いったん国外に出て、一般の観光目的の日本人という
身分で再入国することが目的だった(日本国籍は観光目的ならビザなしで6ヶ月滞在が
可能なのだ)。

でねー、イギリスってさー、うるさいんだよねえ、入国が。

わたしってばここ1年あまりのあいだに数回イギリスに入国していて、
回数を増すごとに入国審査のハードルが高くなっていっている。
違法なことはなにもしていないし、こちらに非はまったくないのだけれど、
不法滞在やら移民問題を抱えるイギリス、近頃特に、
長期滞在する外国人をものすごーく警戒している。

審査官の横柄さ、微に入り細をうがったやらしい質問の数々、ひっかけ問題(!)、
アメリカとともにイミグレーションの感じが悪い国世界ランク3位以内に入ると思う。
知り合いがいるかとか、所持金はいくらかとか、そりゃ向こうも仕事だから
聞きたいことを聞いてもらって結構なのだが、なんせ態度が横柄だ。
こちらの英語力の問題とかじゃなく、ほんっとにエラソーなんだよね。

「ここで怒っても一文の得にもならないどころか入国できない」と思うからこそ
耐えられるものの、毎回毎回「あんたたち口のききかたを知らんのかオラァ」
と喉元まで出かかる。

前回は足元に紙切れかなにかが落ちていたので、誰かが何か忘れたのか
はたまたゴミか、と気になってふと下を向いたら、
「下を向くな! こっちを見ろ!」
とか怒鳴るですよ、審査官のオバちゃん……。
アータ、イギリス人なんだから「プリーズ」くらいつけなさいよ……。
もうほとんど囚人扱いですよ……。

うちの母親なんかが来るときは「観光でーす」とか言ってニコニコしてるだけで
ほとんど素通りだそうですがあー、わたしの場合、この年齢で独身で、
会社勤めじゃなくて、グループじゃなくて単身だとか、ま、色々不審なんでしょうねえ。
偽装結婚とかさ。でも日本人、偽装結婚なんかしないよ、日本国籍だけでじゅうぶん
過ぎる恩恵があるからね。医療だって社会保障だって日本のほうがずっといいからね、
わざわざイギリス国籍なんかとる必要ないんだよ! (と、一度ぜひとも教えてあげたいの
だが、どうせ聞く耳持たないであろう)。

そんなわけで、今回のフランス帰りもどうせひと悶着あるだろうと。
なんたって30日に期限切れで29日出国、1日に戻ってくるんだから、まあ
そりゃアンタ、目的ミエミエですがな、いぢめられないほうがおかしいというもんだ。

というわけで、かなり警戒して臨んだ今回のイギリス再入国。
ユーロスターは乗車前にパリの北駅で審査を済ませることになる。

このためにわたしはわざわざヒースロー空港くんだりまで往復3時間もかけて出かけ、
航空券に帰国日を明記したステッカーを貼ってもらったのだ。
その他、借りているフラットの賃貸契約書(契約が切れる日が書いてある)も用意し、
クレジットカード類も全て持ち(が、これは盗まれたので警察の証明書がせめてもの
代わり……)、帰国してからすぐバンコクに行くのでその航空券も念のため持ち、
「オラオラオラあたしゃ本当に本当にあと10日で出国するんだからね! 別に働いたり
してるわけじゃないからね(働いてるけど、合法範囲)! ちょっと余分にホリデイが
欲しいだけだからね!」と全身から気を発するように努めてみた。

ところが、今回の審査官はいままで会った人々とは全く違った。
紳士、ジェントルマーン、冷静穏やか、わたしをいぢめようなどというヤラシイ視線を
まったく感じさせない、すごくいい人!

「学校はもう終わったんだよね」
「はい」
「なんでまた戻るの」
「ずっと勉強ばかりしていて観光をほとんどしてないので、帰国する前にぜひロンドンの
あちこちを見てみたいからです。ロンドン塔とか、キューガーデンにも行ってみたいし、
湖水地方にちょっと行って、あとはバースとストーンヘンジにも」(←つっかえないよう、
バッチリ練習してあった)

などなど、資金のこととか、泊まる場所、とお決まりの質問が続いて、ひとこと。
「この日には必ず帰国するんだよね?」
その目は「ノーと言うな」と言っている。すべてお見通しだけど、
下手になんかいったら向こうも質問せざるを得なくなる。だから、ここは素直に
「イエスと言えよ」という無言のメッセージを感じましたねー。
もちろん「ええ必ず帰りますです長居はしませんです」と答えておいた。

ほんとは戻ってくるんだけど、それはまた東京で正式にビザを取り直してからの話なので、
この場でそんなよけいなことは言わんでいいのだ。
おっちゃんは「うん、じゃあわかった」と頷いて、ポンっと入国スタンプを押してくれましたとさ。
しかもこういう時って、渡航の記録がすぐに分かるように、余白があるかぎり前回のスタンプと
同じページに押すものなのに、なぜか別のページをわざわざ選んで押してくれた。
これってなにかの親切なのかな。あんまり関係ないか。

ニコニコ愛想のいい人じゃなかったけど、遊び心のある、ものの分かったいい人でした。ホッ。
所用時間約3分。最短記録! (でも他の人は30秒くらいで抜けている)。

ま、ユーロスターのイミグレーションは2個しかカウンターがないし、うしろに長蛇の列が
待ち構えていたから、向こうもあんまり揉めてる暇がなかっただけかもしれないけど。

帰国したらパスポートの更新が待っている。ああ嬉しいなっと。
10年くらい前だったらパスポートがスタンプやビザで埋められていくのが嬉しかったのかも
しれないけど、今となっては、真っ白で汚れのない初々しいパスポートがひじょうにうらやましい。
なんせ、どの国に行っても、補填したページもすでに残り少ないわたしのパスポートは
貫禄がありすぎて、なんぞ言われる羽目になるのだ。

新しいパスポートを持てると思うと、へんなたとえだけど、今までの犯罪歴がチャラになるような、
妙なうれしさがある。きれいな身体に戻りました、みたいな(笑)。

イギリスのビザは申請時に過去のパスポートも一緒に提出させるから、ま、
渡航歴を隠すことはできないんだけど、入国のときの胡散臭さは減るでしょう。ああたのしみ。
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by masala_days | 2005-07-05 22:09 | イギリス話


20代の暗黒時代をインドとイギリスその他あちこち季節移動し続け、30代、やっと日本国で社会復帰。8か月の産育休を経て、現在、働くかあちゃん。オットの不在中に衝動買いしたマンションの借金返済に勤しむ


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