「まあいいか、なんて言うな」

マサムネ節をタイトルに持ってくるの、実は恭子さんのブログの専売特許なんだけど、
今日は真似したい気分。落ち込んじゃダメよ、拾う神は必ずいるからね。

今回タイに行く前に、Kさんという、私が師と勝手に仰ぐ編集者とごはんを食べた。
そのときKさんが「最近、2泊3日くらいで十分なんだよね」と言っていた。
私もまったく同感だった。

ずっと出ずっぱりの生活をしていた。いつ帰るのかとか、どこに行くのかとか、
ほんとに何も先が見えない、ほとんど日常生活になりかけていた旅行を、
ロンドンに移住する前に2回ほどした。「住んでいた」ともいえるけど、
あれはやっぱり旅だった。
いろんな大切な人に会ったし、それはほんとにほんとに楽しかった。

でも、もういいや、と思う。
長いだけの旅行で、旅行の日常に埋もれていくのが、なんだかもったいない。
今回のタイもいろいろ楽しかったけど、2週間は長いな、と途中で思っていた。
たとえば2泊3日ぐらいの、ぎゅっと凝縮した時間で、今の私は十分に
気分を変えて楽しむことができると思う。
「ああ帰りたくないのになー」とぶつくさ言いながら飛行機に乗るくらいが、
きっと、ちょうどいい。

歳をとるにつれて、自分は何が好きなのか、ということが分かってきて面白い。
着る服、食べるもの、付き合う人、読む本観る映画、ああこれは私向き、
あ、これは違う、ということが明確に分かるようになった。

さる美容ジャーナリストの女性が、

「人はできることなら、眠ってしまうのが惜しいと思えるくらいの人生を送るべきである」

と言っていた。ほっとくと10時間睡眠のわたしが言うのもなんだが、これはかなり
真実だと思う。

数年前にとても後味が悪い別れ方をした相手から、別れてから初めてメールがきた。
簡単な近況が書かれていていた。元気そうで、うれしかった。
Now we are on the other side of the world,
yet it would be great to have a coffee and a big chat.
(今はお互い世界の反対側にいるけれど、お茶でもしながらおしゃべりするのも
いいかもね)。
ちょっと泣きましたね、わたしゃー。

相手を恨まずにいられるというのは、ひとつの利点だと思う。
よろめき度の高い惚れっぽい性格ゆえ(苦笑)、いろんな人と付き合ったけど、
心から憎いと思う人、心から憎まれている人というのが思い浮かばない(いるのかも
しれないけど)。みんなステキな人だったし、わたしもわたしなりにステキであろうと
がんばっていた。まあ、みっともない修羅場がなかったとは言わないが、
人を恨ま(め)ないというのは数少ない私の長点のひとつでありましょう。
自画自賛。

そうだ、バンコク最後の夜、ケベックのカナダ人ジャンと真夜中の中華街に行ったんだ。
寝る前にペチャクチャ話していて、フカひれの話をしたら、彼が急に「それ食べたい」
と言うのだもの。私が大好きな53番の赤バス(中華街を通って南西バンコクを一周する)は
10時半で終わっていたので、フカひれ屋台までタクシーを飛ばしてしまった。

ジャンもいい人だ。サメを食べてみようなんて思う西洋人に初めて会ったよ。
汗をダラダラかきながら黒酢をぶちまけてフカひれスープをすすり、
深夜に営業している花市場(パーククローン)に行き、最後の夜だからと
普段はボラれるので乗らないトゥクトゥクに乗って丑三つ時に宿に戻った。

こいつは最初に会ったときはひと言もタイ語が話せなかったのに、
むかつくことに、今回気づけばぺらぺ~らになっていた。
タイ人はみんな最初に私に話しかけ、わたしが分からずにボケっとしていると
ジャンが遠慮がちに口を挟んでくる。そのときのタイ人の驚く顔といったら。ああ可笑しい。

「ちょっと、いつのまに覚えたのさ」と訊ねると、
「いや出発前にカナダで速習コースを6週間やっただけだよ」とか涼しい顔して言う。
そのくせ文字は読めるし、イントネーションも正確だし、やっぱ脳味噌のシワが
わたしより2倍は多いんじゃないかと思う。

わたしなんか赤バスが2.5バーツだったころから(すごい限定的だなあ(笑))タイに
来てるのにさ、挨拶と数字といくつかの固定表現以外、
いつまでたってもぜんぜん進歩しない。

宿に戻って別れ際、「翌朝は早いのでたぶん会えないと思う、じゃーね気をつけて」と
手を振って部屋に戻ろうとしたら、「ちょっと待って」と呼びとめられた。

「ケベック式のお別れさせてよ」と言うやいなや、ぎゅーっとハグに両頬にキス。
あいあいやー。
あんたそりゃ反則だよ、日本女子相手にさ。

妙に焦って動転して、「フ、フランスは3回だったけど、ケベックは2回なのねー」という
わけのわからない台詞が私の別れの言葉となった。

情けねー。
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by masala_days | 2005-08-13 03:24 | 旅なんちゃって


20代の暗黒時代をインドとイギリスその他あちこち季節移動し続け、30代、やっと日本国で社会復帰。8か月の産育休を経て、現在、働くかあちゃん。オットの不在中に衝動買いしたマンションの借金返済に勤しむ


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