Saturday Special

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[Plain Dal / Aaloo Matar with Paneer / Aubergine Coconut Masala / Chapati Bread / Ghee Rice]
プレーン・ダル、ジャガイモとグリーンピースとパニールのドライカレー、茄子のココナッツマサラ、チャパティ、ギーライス



うっ。なにげに先週と同じメニューだ。手抜きじゃないのよっ。
本日、同居人母が来ていたのだ。
イギリスでは明日が母の日なので、同居人が彼女を招待したのだった。
外したくないので同居人にメニューの提案を尋ねると、「先週のココナッツ風味の茄子とパニールでいいんじゃない」との答え。そりゃあなたが好きなメニューだってば。

日本のある一定以上の世代の人々も、未知の食べ物に対して警戒心が強いと思う。
それはイギリス人も同じ。個人的な印象では、庶民クラスになればなるほど食に伝統的に興味がなく頑なで、いつも同じようなものを好んで食べる気がする。ある程度の教養があり、外の世界に興味を持ったミドルクラス以上の人々の方が、多少の勘違いをしつつも積極的に新しい料理を受け入れている。

同居人母は私が料理する場面に出くわすたびに、隕石とか新種の虫でも見るような顔をして鍋を覗き込んだりしていた。だから当然、これまで私の料理を食べていただいたことはない。

一応、イギリス式に野菜は柔らかめ(でも歯ごたえは譲れないので残した)、辛さ控えめ(どのみち同居人も辛いのが苦手なのでいつもマイルドだ)、ナイフとフォークで(インドではスプーンとフォーク)出してみた。気分はすっかりオープンしたてのレストランの料理人である。

私は残りのチャパティを焼くのに忙しい。とりあえず同居人に彼女のお供を押し付けた。
「これは何、え、チーズなの? この葉っぱは?」
「毒を盛ってるわけじゃないんだからさー、早く食べなよ」
「レストランに来たみたいねー」
「今日は主に南インドのレシピでね、ほらこの葉っぱ、カレーリーフって言う南独特のスパイスで、あとこの茶色いのはクミンシード、胃腸の働きを整えるんだよ。ライスはギーというインドのバターを使っていてね。いい香りでしょう」

……同居人、私がいつも言うことをそっくりそのまま得意気に説明している。
聞いてないようでちゃんと聞いてたのね。
ま、その私からして渡辺玲さんの本から得た知識を彼にそっくりそのまま得意気に説明しているのである。
まるで伝言ゲームだ。あはは。

料理はひとまず気に入っていただけたようでホッと一息。

「週に一度でもこうやってちゃんとしたものを食べるって大事よねー」
この発言はどうやら、数日前に放映された、「裸のシェフ」ジェイミー・オリバーくんが出ているテレビ番組に影響された模様(彼女はこれまた典型的イギリス人としてテレビをこよなく愛している)。

この番組はちょうど友人Tさんも見ていて、金曜日に彼女に会った時に、イギリス庶民の食生活の想像を絶する実態を語ってくれていたのだった。

ジェイミーくんが小学校を訪れて子供たちに好きな食べ物を聞く。「チップス(ただの揚げたジャガイモです)」、「ポット・スナック(カップ麺のようなもの)」などなど、ものすごいジャンクフードの羅列になった。彼らの食生活を改善するため、ジェイミーくんがお母さんたちに「健康メニュー」用の買い物リストを手渡す。ところがお母さんたち、そもそも野菜の名前をよく知らず、「ねえこれ何?」と首を傾げてしまう……。

私はかねがね、同居人の食生活はジャンクフードで成り立っているのだなあ、と思っていたのだけど、どうもそれはかなりマシな方だったらしい。たとえ出来合いのものでも冷凍食品でも、いちおうは身体のことを考えている。パンは胚芽入りの茶色いやつだし、バターは使わずマーガリンで代用してるし、塩分控えめだし、脂っこいものは避けているし。あやしいながらもバランスのとれた「食事」らしき体裁を整えていた。

彼はほとんど毎日同じ「缶詰ビーンズと冷凍ベジ・ソーセージと即席マッシュポテト」という食事でも幸せそうに生きている。その彼が、
「まったくさあ、あれだけジャンクフードばかり食べてたらおかしくなるよねー」
などと口を極めてジェイミーくんの番組に出ていたお母さんたちをののしったのは、なんだかすごくおかしかった。

「缶詰ビーンズと冷凍ベジ・ソーセージと即席マッシュポテト」。
これって日本人の「納豆卵と白いごはん&お味噌汁」みたいなものなのかもしれない。
だとしたらあんまり同居人ばかりを笑ってもいられないなあ。わたし、このメニュー毎日続いてもちっとも困らないからさ(笑)。

しかして同居人の母の日のプレゼント。「Chocolate Ginger」なるもの。
チョコレートの真ん中に生姜がゴロンと入っているらしい。
「おいしいのよ。ふたつ、あなたにあげるわ」
と同居人母は素晴らしく寛容に微笑み、私にチョコレート生姜を分けてくれた。

その後、数時間に渡って、試食しようかどうしようか激しく迷っている。
うーん。チョコレートに生姜。生姜とチョコレート。そう来たか。

……やっぱりイギリス人の味覚センスは分からない。
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by masala_days | 2005-03-06 07:01 | イギリス話


20代の暗黒時代をインドとイギリスその他あちこち季節移動し続け、30代、やっと日本国で社会復帰。8か月の産育休を経て、現在、働くかあちゃん。オットの不在中に衝動買いしたマンションの借金返済に勤しむ


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