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スリの都パリで家捜しのていたらく一部始終

行ってきました、パリ。5年ぶりです。
しかしフランス、いつ行ってもいい思い出がない。
2年前の南仏、せっかく40キロも自転車をこいでダーリンに会いに
いったのに、うっかり浮気現場に踏み込んでしまったとか、痛い思い出ばかりである。

今回はユーロスターで北駅に到着後10分でお財布をスラれました(泣)。
メトロの改札でもたもたしてるところへ、誰もいなかったはずの背後に突然人影が
近づき、改札抜けて即バッグを点検したらきれいに財布だけ抜かれていた。

旅行者癖というのか、改札抜けるときとかエスカレーターにのるとき、
ふと後ろを振り返るんですよ、いつも。で、このときも振り返った。
人影の少ないガランとした空間に、黒人の背の高い青年がちょっと
唐突な感じで柱のところに立っていて、なぜかバッチリ目があったんだよね。
なんか違和感があった。

はい、彼が指示係兼見張りです。
で、私が荷物を改札に通そうともたついている数秒のあいだに
黒人の太ったおばさんが突然後ろに出現していて、たぶん彼女が抜き取り係。
そして私がなんとか改札を抜けようとしているときに隣の改札を、これまた突然出現して
抜けていった黒人の青年(最初の男と同一人物かも)が、おばさんから財布を受け取り、
何食わぬ顔で立ち去ったというわけです。もしかしたら他にもリレーしていた仲間が
いたかもしれない。

と、ここまで分かっていながら、抜き取られるのを防げないのは間抜けとしか
いいようがない。「やられた」と分かってもすぐには身体が反応しないもので、
その場で複数の怪しい人々を追いかけるところまではいかないんだよね。
はぁ。

この直前に窓口で切符を買っているときから目をつけられていたんでしょうね。
荷物を持ってるなら改札でひっかかるのは明白だから、もう飛んで火にいる
カモって感じだったんでしょう。
はぁ。

私も私で、ロンドンから数時間のパリは旅行のうちに入らないというか、
ちょっとお出かけするだけのつもりで、バックパッカー時代の腹巻とか、
現金を分散して持つとか、そういうことを一切せず、ごく普通のお買い物スタイルで
出かけたのがもうすでに間違いでした。

財布の中身。クレジットカード2枚と現金60ポンド(約1.2万円)、直接海外のATMで
貯金を引き出せる日本の銀行の国際カード、これがもう最重要。

メトロの乗り放題切符はカードで買っていて、ユーロはあとでおろすつもりだったので
ユーロ現金はなかった。あとは期限切れの免許証とか、カムデン地区の
図書館カードとか、携帯のtop-upカードとか、別れた男の捨てるに捨てられなかった
写真とか、証明用写真が10枚くらいとか、母親が神社で買って送りつけてきた
良縁結びのお守りとか、美容師さんの名刺とか、なんかいろいろゴチャゴチャ入っていて
ものすごくいっぱいお金の入っていそうな分厚い財布なのに収穫は60ポンドのみで、
スッたほうもさぞ拍子抜けしたことでしょう。見慣れぬポンドに戸惑うがいいわ(負け惜しみ)。

幸いパスポートと帰りの切符は無事。携帯も日本のとイギリスの両方とも無事。
メトロの切符もあるのでとりあえず移動はできる。ただし現金は一銭もない。
すっかり電波少年の気分である。

とりあえず駅の警察に盗難証明書を作成してもらい、その間に、日本にいる知人の
編集者Yさんにカード会社の盗難届け用の番号を調べてもらおうと電話したら、
頃はちょうど夏の夕暮れ、私を知っている人々ばかりが何人も揃ってビアガーデンに
いらしたところで、「パリから間抜けな電話をしてきた」と格好の笑い者になってしまった。
うえーん。

おまけに警察官の質問ってば。
「あなたの職業は」
「添乗員です」
「え、今、グループと一緒にいるの」
「いえ、今回は自分のホリデイです」
「ああそう。ふーん、添乗員もスリにやられるんだねえ。ふーん」
その後、彼は隣室に行き私をネタにして同僚と大笑いしている。
わたしゃーフランス語は話せないが言ってることはわかるんだよ。
そうだよいつもお客様に「みなさーん、ここはスリが多いですから、
バッグはしっかり前に抱えてくださいねー」とか、「貴重品は持ち歩かないで
くださいねー」とか声を大にして言ってますよ、ええええ、ふん。
うえーん。

今回のパリは、ロンドンに留学中の韓国人の友達がパリに借りたままになっている
アパートに滞在する予定で、彼女から鍵を借りてきていた。
警察への報告とカード止めが完了後、さっそく彼女の地図を頼りにアパートへ。

エレベーターなしの6階、すきっ腹を抱え、ステキにアンダーグラウンドな雰囲気の部屋につく。
とりあえずは現金を調達せねばなるまい。前日はロクなものを食べておらず、朝も早かったので何も食べず、ただひたすらパリについたらあれを食べようこれを食べようロンドンと違って
フランスは食べ物だけはうまいんだもん、と期待に胸を膨らませていた矢先の一文なしである、
痛いよなあ。

選択は3つあった。

その1)妹の知人のチュニジア人が一家をあげてパリに移住してきているので
彼らに泣きつく。ただし彼らは不法滞在の身で、潤沢にお金を持っているとはいえず、
おまけにイスラム教徒なので、絶対に困っている私を放ってはおかず、あれこれ
世話を焼いてくれることは間違いない。

その2)インド在住のアキオくんのお姉さんが結婚してパリ郊外に住んでいる。
アキオくんに電話したら、転がり込んでもよい、とのこと。

その3)アパートを貸してくれたロンドンの友人に誰かお金を貸してくれそうな人を
紹介してもらう。

どれもこれもみんなステキに全然知らない人ばかりに頼ることになる。
1)はやっぱり、避けたい。2)は郊外に行く列車代を払えない。
番外編として在パリ日本大使館に泣きつくという手もあったが、なんせ私のパスポートは
スタンプだらけである。大学生ぐらいの初々しい旅行者ならともかく、もういかにも
旅行しまくってます、というパスポートを持ち込んで金貸せとはよう言わん……。
ということで、3)。ロンドンにいる友人に電話。

「あのねえ、北駅で財布スラれちゃったんだけど、誰かお金を貸してくれるような
優しい友達、いない?」
一瞬の無言のあと、友人は静かに言った。
「……まずは落ち着くのよ」
「はい」
空腹の限界で落ち着くどころか気力萎え。
「キャッシュは、私の部屋に、ある」
「え、ほんと?」
突然、心はウキウキである。
「冷蔵庫にキムチの素も、ある」
「うわーい!」
「棚を探せば、パスタと米もあったはず」
「おお!」

そして友人は、そのキャッシュは彼女がお金を貸した他の誰かが部屋に隠していったので、
彼女は詳しい場所は覚えていない、よって自力で探すように、と言った。
どこか本の間に挟んだらしい、とのことだったが、彼女はソルボンヌ大学でドクターを
とった才媛である、本とひと言で言ってもアータ、壁一面が本で埋め尽くされていて、
ざっと見ても200冊はくだらないですよ。ひぃぃぃ。

そんなわけで、花のパリに到着して数時間、私がしたこととは、
他人の家に上がりこみ、あっちこっちひっくり返して泥棒の真似事である。
人間、ハラが空くとどんなことでもためらいなくできるものである。

最初は片っ端から本を開いていたのだが、途中で気がついた。
本棚の前に椅子を運んできて、上から本を眺める。
お金を挟んであるなら、ページとページの間が膨らんでいるはず。

はたして、あったよありましたよ300ユーロ。立派な専門書のあいだに!

そんなこんなで現金も手に入れ、なんとかお腹も満たし、しかし
その時点で疲れきっていたのでパリだというのにどこへも出かけず、
わたしはひたすら眠りを貪ったのでありました。

そうだ、キムチの素はローストチキンに添えたらすごくうまかった。
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by masala_days | 2005-07-04 23:23 | 旅なんちゃって


20代の暗黒時代をインドとイギリスその他あちこち季節移動し続け、30代、やっと日本国で社会復帰。8か月の産育休を経て、現在、働くかあちゃん。オットの不在中に衝動買いしたマンションの借金返済に勤しむ


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